- 2014-09-07 (日) 21:54
- とんとん日記 | ワンダーFULL TOKACHI | 未分類
- 投稿者:ケラアン
おもちゃの館 タイムトンネル(幕別町)
「うちは本当に古い物しかないですよ。それでもよろしいですか?」
分かってきたつもりなんだけど妙なことを聞くなぁ…。
そう思った。
国道38号線を帯広から幕別方面へ。
札内大橋を渡ると、ほどなくすぐ左手側に『おもちゃの館 タイムトンネル』が見えてくる。
建物は決して大きくはない。道沿いにはコンビニやホームセンター、ガソリンスタンドなどが並び、その間にちんまりとタイムトンネルがあります。
「“タイムトンネル”? 行ったことないけど、昔そんなドラマがあったなぁ…」
なんでも海外ドラマでタイムリープもののシリーズで、タイムマシーンの研究中、被験者が装置のトラブルで歴史の中を流れわたるストーリーだそうだ。
変わっているのは、そのタイムマシーン(?)。研究所から遠隔で操作されており、ドラえもんみたいに被験者が自ら操縦して時代の間を航行するのではなく、研究所から被験者の今いる時代と位置を確認し、他の時代へ飛ばす。しかし、装置の欠陥で行き先(時代)を決めることができず再び探すことになり、なかなか現代に戻ることができない。そんな時間の流れに翻弄されながら、被験者は歴史の大舞台に降ろされ、歴史が変わってしまいそうな時代の窮地をすべからく救いながら、いつか自分たちの時代へ戻ることを願い時間の旅を続ける…
歴史は学校の授業で習った。あるいはTVで。(それが正しい史実のドラマかどうかは別として…)
でも時代のうつろいは、文字や画像によってしか知ることができず、皮膚感覚としては体現できるはずもない。
かろうじて近づけるとすれば、それは遺構や史跡といったその時代の残照でしかない。
それでも、その残り香は記憶を呼び覚ましたり、経験したことのない不思議な感覚を体験させてくれるものだ。
そういった趣のお店は、十勝も決して少なくはなく、「リサイクル」とは別格の美術骨董品店や50年代または70年代など特定の時間をワンテーマとするカフェ、古きよき時代を髣髴とさせる焼肉店、そして通りのうつろい中、そのころのままの形で街の灯りを灯し続けているバーなどがある。
おもちゃの館 タイムトンネル
昭和を“玩具”から考察する─ というのは少し言い過ぎだろうか。ともかく検索して調べておいた情報によると「古いおもちゃの展示されている私設博物館」には違いない。
考えてみると「タイムトンネル」という言葉もどこか古いイメージがする。そういうタイトルのTVシリーズのことを知ったからだろうか…。
『昭和』はすで遠くなり、26年目。時代は「平成」となっても和暦は暮らしに定着している。
むしろ忘れやすいのは、今が21世紀だということの方かもしれません。
「トンネル」は日本語では『隧道(ずいどう)』と書く。
鉄道、あるいは一般の通行順路の短縮。あるいは通行難所の迂回のため丘陵地や断崖の岩盤を貫通させて道を作る。話が小難しいのですが、「こちらとあちら」を「繋ぐ」。または行き来させる。
トンネルのこちらとあちらは、同じようで別な世界─ そんな空想をしたことがある。
これも「タイムトンネル」的な考えですね。
ところで、このタイムトンネルの先の世界を見てみたい…ということで入館てみしました。
「うちは本当に古いものしかないですよ。それでもよろしいですか? 販売できるものなら、そちらの奥の方にもありますから、そちらから先にご覧になってはいかがですか?」
ずいぶん控えめなことを言うんだな…
そう思いつつトンネルの向こう側を見ることを承諾する。
その時点でタイムトンネルの先は、まだ真っ暗の闇。
「タイムトンネル」と言っても、その世界をくぐる入口は、古風な暖簾。
でも、その向こう側は、まさに「タイムトンネル」なのであった。
時代を超越した部屋
向こう側の世界…そこは建物の大半を使ったと思しき大きな部屋。
そこに所狭しと並ぶのは、思ったとおりの古い玩具ではなかった。
見た目にも古いものもありましたが、展示品のほとんどと言って良いほどが新しい。
傷どころか色褪せもなく輝いている。
新品を大切に収集したのだそうですが、この中にいると、それらが造られた時代にいるような錯覚すらしてきます。
ブリキで玩具が作られるようになったのはイギリスが発祥。
日本では終戦後の物資の乏しい時代に進駐軍の廃棄した食品缶詰等の容器を再利用し発展。
一時は、発祥国イギリスを追い抜き、日本の主力輸出品になった時代もあったそうです。
「リサイクル」が社会運動になる以前の「それが当たり前」な時代。
ブリキのオモチャの作製と発展は、以後の高度経済成長の中で素材も生産量もどんどん変わっていきました。
その中で社会は、現在言うところのリサイクル(recycle)、リユース (Reuse)の心をしばらく忘れてしまっていたのかもしれません。
この時代のブリキ玩具が中心の収集なので、「過去から現在のおもちゃの歴史博物館」とはニュアンスが違います。
それで「うちは本当に古いものしかないですよ…」の言葉があったのでしょうね。
言葉少なくマニア的なウンチクを語り出す館長さんではありませんが、質問したことには丁寧に教えてくれます。
時おり、壊れたおもちゃを直していただけないか…という方がくるんですよ。
でもね…ギャー(モーターの力を歯車に伝えるパーツ)のようなちょっとした小さい部品が今では手に入りにくい。
本町(幕別)の方で「おもちゃの病院」をしている方がいて紹介するんですけどね。
現在のおもちゃは回路基盤など複雑化して故障原因を確認するのも難しくなっているという。
展示品は、昭和30年代からブリキのおもちゃ600点・銀行等のキャンペーン貯金箱500点・トミカなどのミニカー450台・企業キャラクター関連物100点・観光お土産物200点。他に映画のポスター、セルロイドやソフビの人形。(一部に販売品あり)大半が長年かけて自分で収集したものだそうです。
実際に展示室へ入ると、その点数の多さに数字以上に驚かされます。
入館料:500円(小中学生300円)
※チケット裏面がスタンプシートになっており、1~3個で次回以降段階割引あり)
住所:中川郡幕別町札内西町60-1
営業時間:10:00~18:00
定休日:火・水曜日
「とんとん」での詳細ページ
小さい頃の宝物
大切にしていれば大人になっても宝物であり続けるでしょう。
例え傷が付いたとしても、それがかえって自分の付加価値となって。
でも、今の子たちは宝物が多くなりすぎて手に追えなくなっている気もします。
そんなときのために「フリーマーケット」や「リサイクル市」そして「リサイクルショップ」もある。
便利になったものですね。価値は別として…
あの頃の宝物、今どこにありますか?
壊れちゃいましたか…
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