半田ファーム

素材から製造まで、安心を直接お客様のもとに

 帯広市から広尾方面へ向かう国道236号線から少し入ると、そこには広大な敷地の牧場とチーズ工房兼レストランでもある半田ファームがあります。チーズづくりに欠かすことのできない乳牛の飼育から、チーズの加工・販売すべてを手掛ける十勝のチーズ工房の先駆者。
「うちではホルスタインを飼育しています。飼料にもこだわりながら乳製品に合う、クセはないけど牛乳の豊かな風味が感じられるものがいいかなって思っています。」そう語るのはチーズの製造から販売まで携わる半田 康朗(はんだ やすあき)さん。
与える飼料・育て方によって味も香りも変わる牛乳。消費者である私たちが手に取る時、”最初から最後まで生産者の顔が見える”ということは1番の安心です。

 北海道内のみならず全国の物産展まで自ら足を運び、直接お客様に商品を販売する康朗さんは、工房としての思いを上手な言葉ではないけれど笑顔で会話をしながら、聞いてもらうことに嬉しさを感じると言います。
「初めて行った会場でもうちのことを知っていて来てくれる方もいらっしゃいますし、それがきっかけで北海道にまで来てくれた方もいます。そういうのが、面白いなと。」
自信があるから多くは語らない。でも家族みんなで食卓を囲みながら自由に、楽しく食べて欲しい。商品の質や熟成のかけ方など、変えてはいけない「芯」をそのままに、語りかけていきたいと教えてくれました。

農家チーズ工房の先駆者はあくまでも「自然体」

北海道の酪農家が経営するチーズ工房は現在120件以上。十勝地方の南部にある大樹町は人口6,000人ですが、牛はその3倍の18,000頭ほどが飼育されているというから驚きです。半田ファームはかれこれもう20年前以上前からナチュラルチーズを作っている北海道の先駆者的な存在ですが、お父様である司(つかさ)さんチーズ工房を作ろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

1991年に行われた牛乳の「減産調整」がきっかけだと聞いています。農家で生産量を守っても、地域ごとに割り当てられた生産量があり、泣く泣く牛乳を捨てなくてはならない時代がありました。そこで、長期保存ができ熟成させればさせるほど価値が出るチーズ作りを始めたんです。1994年当時は酪農家がチーズ工房を作るのは前例が少なくて、独学で研究をしたそうです。試行錯誤の末、3年後にチーズの販売を開始し始めたんですよ。

自分たちが愛情を込めて育てた牛たちが作るおいしい牛乳を自らの手で捨てなければいけない時代…農家としての立場はもちろんですが、心情的にも大変な負担があったことと思います。手探りで始まったチーズづくりも、当初は赤字を出したそうですが現在では軌道に乗り、その品質の良さは2年に一度開催される「オール・ジャパン・ナチュラルチーズコンテスト」に何度も入賞するほどとなりましたね。

2013年の第9回でも優秀賞の「農畜産業振興機構理事長賞」に選出され、年を重ねるごとに完成度を高めています!これほど好評なチーズならば、さぞ他の酪農家と違った乳牛の育て方をしているのかと聞かれますが、うちは特別な環境で育てたり、特別なエサをあたえたりすることはしていません。牛舎のスタッフが細心の注意を払って乳牛を育て、その乳を使って愛情を込めてチーズを作ります。それぞれの役割と責任があるからこそ、全国的に認められるようになったと感じています。

「愛情」と「責任」、これこそが半田ファームのチーズづくりを支えるポイントかもしれませんね。特別なことをしなくても、心を込めて携わるからこそ、そのおいしさがチーズの味として形になるんですね。これらのチーズには牧草の名前がつけられていますが、その名前の由来は一体なんでしょうか。

 表面を塩水で拭きながら熟成させたウォッシュタイプの「チモシー」、3ヶ月熟成させたセミハードタイプの「オチャード」、ハードタイプの8ヶ月熟成させた深みのある「ルーサン」。うちの商品はどれも半田ファームの乳牛たちが食べる牧草の名前です。牧草が牛を育て乳となり、やがてチーズになる。「まさにチーズの元は牧草」という意味を込めて付けました。できたてのオチャードを大樹町内の群馬県に本社がある漬物屋の工場に持ち込み、共同開発の味噌床の中で半年間じっくり熟成させた「熟成チーズ味噌漬」は、日本の発酵食品と西洋の発酵食品のコラボレーションです!

ひとくち食べればチーズならではのなめらかな旨みのあとに、香り豊かな味噌の風味がいっぱいに広がりますね!スライスして日本酒と合わせても良さそうです!ゆで上げたパスタとあえたり、炊きたてのご飯に乗せて食べるのも美味しいと聞いたのでぜひやってみたいと思います。他にもおススメはありますか?

ぶどうの搾りかすに漬け込んで熟成させたチーズも、他の業種とのコラボレーションで生まれた商品です。ぶどうは全国的にもファンの多い十勝の池田町の十勝ワイン「清見」のもの。しっとりとした食感にワインの味わいと風味が広がるちょっと大人のチーズです。どのチーズも酪農家としてのこだわりと愛情がぎっしりと詰まった手作りの味。自信をもっておススメしますよ。

リピーターが絶えない酪農家が経営するチーズ工房の先駆者的存在、「半田ファーム」。牧場の敷地内にはチーズ工房兼レストランがあります。深い愛情とおいしさへの熱意が生んだ十勝ならではのチーズは、まさに宝物ですね。

 1Fのチーズ工房の地下に貯蔵庫があります。部屋は2つあり、それぞれ生息している菌も違い、作るチーズによって使い分けています。

半田ファーム

〒089-21006
広尾郡大樹町下大樹198
TEL 01558-6-3182

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